
私は、VCE の Japanese Second Language で50点満点を取ることができました。
この点数が取れるのは、州内でわずか2、3人程度と非常に少ないです。では、私ははじめから成績優秀だったのでしょうか。いいえ、実のところ、決してそうではありませんでした。VCE コースを始めた頃、スワン校長から「満点を目指しなさい」とクラスに向けたメッセージがありました。また、日本語の先生からも「ビクトリア州のトップのトップの生徒は、何も間違いをしない。完璧を目指そう。」というお言葉をいただきました。
当時の私はといえば、文字数制限を大幅に超過した冗長な作文ばかりを書き、頭の中で英語⇔日本語の切り替えも遅く、時間のかかる状態。幼少期から小学校や補習校、家庭で培った日本語力はあったものの、試験で高得点を取るには全くの力不足でしたね。会話試験の練習でも、次の質問を考えるのに時間がかかるなど、問題点は山積していました。ですから、正直なところ、VCE の勉強を始めた当時の私は、「満点なんて取れるわけがない」と思っていました。しかし、今振り返れば、毎週の会話と作文の練習、そして過去問題への取り組みを地道に重ねる中で、自分自身の成長を少しずつ実感できるようになっていたと思います。
試験まで残り約二か月となったとき、学校で模擬試験を受けました。
その結果は、なんと約75%。VCE の勉強を始めたときと比べたら良くなっているが、満点からは程遠い。
日本語の先生からは、「これでは新聞に載るような点数( 40点以上 )は取れない」と厳しい言葉をいただきました。このとき、自分はとても強い焦りと危機感をおぼえました。
私の場合、主に、次の二点を大きく改善する必要がありました。
① 作文の内容
作文を書くとき、主張を展開する際に論じる点を3つ程度考えてから書きます。試験では、これを限られた短い時間で考えなくてはなりません。この3点があまり強くなかったり(洗練さ、目新しさ、幅や拡がりが必要)、関連性が薄かったりすることが多く、改善が必要でした。
VCE の日本語で高得点を取るには日本語力だけでなく、主張や構造が大切になってきます。

これは、試験の作文の部分の評価基準になります。4つのポイントが書かれていますが、そのうち3つは日本語の言葉自体についてではなく、指定されたトピックやオーディエンス、テキストタイプとの関連性、作文の論理的な構成などに重きが置かれています。つまり、内容の質と構成力が問われているので、日本語が完璧でも、内容のクオリティが低いと高得点は取れないのです。
② 筆記速度の改善
解答を記入するとき、リスニングのメモを取るとき、筆記速度が遅すぎて、限られた時間内にすべての設問に解答できませんでした。内容が良くても、解答しきれなければ意味がありません。この点も大きな課題でした。
模擬試験での悔しさをバネに、更に過去問を繰り返し解き、制限時間内に解答を完了する練習を積みました。試験直前の私のやり方は、とにかく数をこなすこと。作文を書いて、すぐスキャンして先生に送り、フィードバックを受け取る。このサイクルを試験の直前まで続けました。元々20分程度制限時間を超過していましたが、試験直前には、終了時間の5分前には書き終われるようになりました。本番は、なんと20分前に書き終えることができました。
振り返って思うのは、「難しいことでも、何度も継続的に練習すれば、多少は改善が可能である」ということです。
最初から「満点なんて無理」と思いこまず、「満点を目指して努力する」姿勢が何より大切だと感じます。
また、どの科目にも共通して言えることですが、長期的な、日々の積み重ねが結果に直結します。例えば先ほど挙げたような二点は、試験の一年前からでも対策可能な内容ですね。
ただ漫然と補習校に行くのではなく、毎週小さくてもいいので具体的な目標や、集中したい点を持って臨むことが、成長への近道だと実感しました。例えば、「今日の作文練習では論点の幅を広げることを意識する」、「今日の会話練習では、話しながら次の話題を考える練習をする」など、意識的な取り組みが大切です。
面接試験で、試験官から最初にされた質問は「 VCE の日本語を勉強して、どうでしたか?」でした。
「そうですね。VCE の日本語を勉強して、私は自分自身が大きく成長できたと感じています。家庭ではもともと日本語を話していたため、日本語力そのものに大きな変化はありませんでした。しかし、様々な事柄について、より多角的、かつ広い視野で考えられるようになったと思います。また、自分がこれまで知らなかった日本の社会や文化についても学ぶことができ、日本に対する理解を一層深めることができたので大変良い経験となりました。」
私が二年間の Japanese Second Language の学習から得られたのは、決して「日本語力」だけではなかったのです。
- 喜多井 陽熙
- メルボルン補習校 卒業生
2019年7月、中学1年に入学。2023年度のVCE日本語受験を終え、現在はメルボルン大学にてBachelor of Commerceを専攻。





