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The Japanese Saturday College of Melbourne メルボルン補習校

ブログ 特集 作文力

作文は苦手というのは子どもたちだけではない。保護者にも先生にも、作文が苦手という人が結構いる。実は、私も作文は得意ではない。学校ニュースにいつも苦しんでいる。漢字や語句は調べればわかる。テーマの目的もAIを参考にすることができる。しかし、伝えたいことをどのように論理的に構成していくか、がよくわからない。だから途中で文章がおかしくなってしまう。私に作文力がない証拠だ。

作文力とは何か。AIに尋ねてみた。
「作文力(さくぶんりょく)」とは、自分の考えや気持ちを文章として的確かつ分かりやすく表現する力のことを指す。単に文法的に正しい文を書く能力だけではなく、相手に伝わるように構成や表現を工夫する総合的な力を含む。」と書かれていた。さらに、主な要素として、「内容構成力(論理性)、表現力(語彙・文体)、読者意識(伝達力)、論理的思考力、創造力・感性」が付記されていた。

AIの回答を見て、私に欠けているのは、内容構成力、論理的思考力だと思った。
テーマを決めても、結論として何を伝えたいのか、しっかりとイメージしないまま、私は書き始めてしまう。<起承転結>や<初め・中・終わり>などの構成まで考えない。だから論理的な展開力が弱い。書き進めるうちにいつの間にか変な方向に行ってしまう。要するに脱線してしまうのだ。結論に戻そうにも、かなり前に戻って文章を書きなおさなければならないことに気づく。時間ばかり食って、情けなくなったり、いやになったりする。結論へ導く文章を展開するにはどうしたらよいのか、いつも思案にくれる。この点をもっと学んでおけばよかったと、ずっと後悔してきた。

「内容構成力や論理的思考」のために、「わかりやすい文章を書く力」は大前提となる。この「わかりやすい文章を書く力」も重要な作文力である。
次は、「わかりやすい文章を書く」ために、私が常に注意していることを記す。私自身の経験から習得したコツのようなものである。

①ふだんあまり使わない語句や読みの難しい漢字はできるだけ使わない。難しい漢字には「かな」をふる。
②文章はできるだけ短くする。長い文章はそれだけでわかりにくい。読み手に疲れを感じさせる。
③読点(とうてん)を適切に使う。読点は「わかりやすさ」を助ける有力な道具である。とくに修飾語を使うときに読点が必要になることが多い。

文例:
鈴木さんは急いで取引先に向かう部長のためにタクシーを呼びました。

読点がないと、「急いで」という言葉が「取引先に向かう」にかかるのか、「タクシーを呼びました」にかかるのかわからない。

*「急いで(取引先に)向かう」という意味にするには、
→鈴木さんは、急いで取引先に向かう部長のためにタクシーを呼びました。

*「急いで(タクシーを)呼びました」という意味にするには、
→鈴木さんは急いで、取引先に向かう部長のためにタクシーを呼びました。

この文の場合は、「急いで」という修飾語をそれを受ける言葉の近くに置く方が、読点よりわかりやすい。
→鈴木さんは取引先に向かう部長のためにタクシーを急いで呼びました。

ほかの言葉にかかる修飾語は受ける言葉の近くに置くことが原則である。修飾語は無意識に離れた場所に置いてしまうので注意を要する。自分の書いた文を読み直してみると、わかりにくい部分が見えてくる。

④逆説の接続助詞「が」はできるだけ使わない。「が」は逆説のみに使うことが適切といわれる。多くの人は、気軽に、つい単純な接続に「が」を使っている。

文例:
・今日は晴れですが、出かけるのはやめました。(不自然)
・ 彼は優しいですが、怒ると怖い。(不自然)
・ このケーキは美味しいですが、値段が高い。(不自然)
・ 私は一生懸命勉強しましたが、試験に落ちました。(適切)
・ このメロンは大きいですが、安いです。(適切)


「が」の使い方はけっこう難しい。慣れるには経験を積むしかないようだ。

作文力とは結局、「わかりやすい文章を書く力」と「まとまった文章の論理的な展開力」であると理解している。そのために語彙や漢字は豊富であることが望ましい。

語彙や漢字は使わなければ忘れるものだが、作文力はすぐに忘れるものではない。若いうちに身に付けた作文力は一生の宝となるだろう。論文を書くにも、他人との交渉や人を説得する文を書くにも、分かりやすい文章で、伝えたいことを的確に表現しなければならない。作文力があれば、よりよい表現力を手にすることができる。

作文力は日本語でも英語でも共通する能力であると思う。本校小中学部やVCE日本語コースで培った作文力は子どもの人生を間違いなく豊かにする。子どもたちには、AIに依存することなく、AIのヒントを活用して自分が獲得した作文力を駆使してほしいと思っている。


藤家 管幸 メルボルン補習校名誉校長
藤家 管幸
メルボルン補習校名誉校長

日本で32年の教職経験を経て、2005年4月からメルボルン国際日本語学校校長を勤める。 2009年12月同校退職。2011年4月メルボルン補習校校長に就任。2016年メルボルン補習校名誉校長に就任。

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