
INDEX
幼稚園説明会と、補習校に通う意義について
6月14日と8月16日の二回にわたり、来年度の幼稚園入園希望者を対象とした学校説明会を実施いたしました。説明会では、本校の幼稚園における保育方針と、小学部の教育方針についてご説明いたしました。
幼稚園では、以下の4つの柱を保育の方針としています:
- 日本語での会話を重視する
- 季節の行事や保育活動などの集団生活を楽しむ
- 生活習慣と社会性を身につける
- 自らのアイデンティティを意識する
また、小学部への進学時には、以下の力を身につけえていることが大切だと考えています:
- 日本語でのコミュニケーションがスムーズにできること
- 日本の学校スタイルの授業に参加できるだけの学習習慣と社会性を備えていること
- ルールを守ることの大切さを理解していること
- 自分のアイデンティティを理解し、「なぜ土曜日に日本語を学ぶのか」という意義を理解できていること
私たちは、できるだけ長く本校に通っていただくことが、子どもたちにとっても大きな意味があると考えています。年齢相応の日本語力を身につけるためには、毎週の積み重ねが欠かせません。そのためにも、家庭と学校の教員が連携し、共通の目標を持って支援すること、そして、同じ目標を持つ仲間と土曜日を楽しく過ごせることが大切だと思っています。
説明会を終えて感じた「保護者の期待とのギャップ」
説明会を終えて、ひとつ疑問が生まれました。
「保護者の皆さんは、補習校に何を期待しているのだろうか?」ということです。
本校の教育方針と、保護者の皆さんの考えに、少しギャップがあるのではないかと感じる場面がありました。
最近、さまざまな保護者の方から、次のようなご意見を耳にしました(※本校保護者のご意見ではありません):
- 土曜日まで時間を使って補習校に通わせてまで、日本語の読み書きを習得させたいとは考えていない
- 「楽しく通うこと」が何より大切で、楽しく通えなくなったらやめる
- 教育方針よりも、「通いやすさ(家からの距離)」や「仲の良い友達がいるかどうか」が重要
これらのご意見に触れたとき、私が感じていた違和感の正体は、ここにあるのかもしれないと感じました。
子どもたちの声から見える「補習校に通う意義」
そこで、子どもたち自身はどう感じているのか、声を聞いてみたいと思い、インタビューを行いました。
卒業式の際などにインタビューをすると、多くの生徒が「土曜日に学校に行くのはいや」「宿題が多すぎる」と答えます。しかし、国語Ⅰコースの生徒からは、比較的ポジティブな声も聞かれました。
今回、小学6年生とVCE(ビクトリア州大学入試制度)レベルの生徒にインタビューを行ったところ、生徒からは前向きな意見が集まりました。
【国語Ⅰコースの生徒の声】
- メルボルンに来たばかりで、現地校で英語を話すのが難しい。補習校で日本語を使える環境が楽しい
- 将来的に日本の学校へ転入する可能性を考え、今のうちに学年相応の国語力をつけておく必要がある
- 現地校の算数のレベルが低いため、日本の教科書でしっかり学べる補習校の授業は安心
- 英語力がつくことで、将来の日本での中学・高校受験にも役立つと思う
【国語Ⅱコースの生徒の声】
- 補習校の算数は現地校より進んでおり、現地校では「算数が得意な生徒」として認識され、上級クラスに入ることができた
- VCEの日本語で高得点を取れる可能性があり、大学入試に有利
- 日本に行った際、日本語が読み書きできることで、学校の先生や友達から驚かれた
- 日本に帰省したとき、家族や親戚と日本語で自然に会話ができる
- 現地校と補習校では価値観が違うが、どちらも理解できることで視野が広がった
VCEの生徒が感じる「自分の意思で学ぶ」という実感
VCEまで進んだ生徒たちは、補習校に長く通った意義を、より強く実感しているようです。
小・中学時代は「親に言われて仕方なく通っていた」という印象だった生徒も、VCEに進むと、自分の目標のために補習校に通っているという実感を持つようになります。
【VCEの生徒の声】
- VCEでは基礎的な勉強の必要はほとんどなく、より高いレベルでの学習ができる
- 「自分のために学んでいる」という実感があり、これまでの苦労の意味がわかってきた
- 日本語のVCEで高得点を取れる可能性が高まり、大学入試において大きな強みになる
- 幼稚園から13年間通い続け、辞めたい時が何度もあったが、最後までやり切ったことが自信になった
- 一つのことを継続してやり遂げたという事実は、これからの人生の支えになると感じている

今回の説明会では、一部の保護者の方々との間に、教育方針に対する価値観の違いを感じる場面もありました。
ご参加いただいた皆さんが、どのような思いでお子さんを補習校に通わせようとされているのかは明確には分かりませんでしたが、子どもたちの声を聞いて改めて感じたのは、補習校での学びは、短期的な楽しさだけでなく、将来に向けた力を育てているということです。補習校に対して「行きたくない」「宿題が大変」と感じながらも、子どもたちは通い続け、その経験を最終的には自分の人生の大切な時間として受け止めています。
その姿を見ることで、私たちも安心し、メルボルン補習校の意義を改めて実感しています。
- スワン 由香里
- メルボルン補習校校長
補習校勤務8年、現地校勤務14年の教育経験を経て、2011年4月、メルボルン補習校開校時にビジネスマネージャーとして着任。
2016年には同校の校長に就任し、学校運営と教育の充実に努める。





