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The Japanese Saturday College of Melbourne メルボルン補習校

ブログ 特集 SNSの利用禁止が始まる

16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法律が12月10日(水)から施行される。対象となるプラットフォームはXやSnapchat、Facebook、Instagram、TikTok、Reddit、YouTubeなど。オーストラリアではSNSの利用をめぐり、依存症やいじめ、有害コンテンツへのアクセスが深刻な社会問題となっていた。

国全体で子どもにSNSを使わせない、世界初の取り組みが始まる。

法案成立のきっかけのひとつとなった事件があった。以下、YouTubeの日テレNEWS動画から一部を抜粋する。紙面の都合で文面を短くしたり、動画の状況を説明するために筆者の判断で加筆したりしている。報道は実名だが、ここでは仮名を使った。

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メルボルン郊外に住むジョンさん、「これは息子が使っていたスマホです」と、17歳だった息子が使っていたスマホを見せた。それから、彼は一枚の写真を取り出した。2023年に息子のトミーと肩を組んで映っている写真だ。二人ともにこやかに微笑んでいる。「休暇で家族旅行に行ったとき、息子が『一緒に写真を撮ってほしい』と頼んできました。そのとき息子はすでに命を絶つ決意をしていたのだと思います」

この写真の撮影からおよそ一か月後、トミーは自殺した。その理由はSNSを通じて性的な脅迫を受けたことだった。トミーが15歳だったとき、18歳女性を名乗る人物とSNSでやり取りを始めた。回数を重ねるうちに(女性の)裸の写真が送られてきた。そして、トミーも相手から求められ、自身の裸の写真を送った。そのあとに電話がかかってきた。

トミーは、てっきりその女性からの電話だと思った。ところが電話をかけてきたのは別の州に住む男だった。男はトミーに対し、日本円でおよそ5万円を支払わなければ、裸の写真を流出させると脅してきた。トミーはその金額を支払ったが、さらなる支払いを要求されたことから、父親のジョンさんに相談した。ジョンさんは男に脅迫をやめるように説得したが、結局、男はトミーの裸の写真を拡散させてしまった。

「息子は内向的になり、引きこもるようになりました。誰とも話したがらず、外に出ないようになりました」 写真が拡散され、別人のように変わってしまったというトミー、17歳の若さで自ら命を絶った。トミーを脅迫した47歳の男は性的脅迫の容疑で逮捕された。容疑者の男は別の子どもに対してもSNSで同様の脅迫をしていた。

「毎日、息子に会いたいと思っています。いつも彼の声が聞こえる気がするのに姿はもう見えません」と、悲しげな表情のジョンさんの目にはうっすらと涙が浮かぶ。「SNSが禁止されていればトミーは今も生きていたはずです」
・・・・・(以上、11月24日の日テレNEWSをもとに再構成した)

子どものSNS利用を制限することに多くの保護者が賛同した。昨年11月、議会で法案が可決した。しかし、SNSに依存している多くの子どもたちはこれに反対している。SNSがなければ生きてはいけないというほどだ。保護者や子どもたちに罰則がないことから、年齢偽証などが予想され、この法律の実効性が疑問視されている。

実際、SNSは子どもたちの友人関係に欠かせない主要インフラになっている。日本でもスマホから離れられない子どもたちの実態がある。電車に乗れば、車内は異様なほど静かで、高校生から大人までほとんどの人がスマホをのぞき込んでいる。読書したり、参考書を広げたり、あるいは楽しそうにおしゃべりしている学生を見ることはめったにない。昨年、知事の選挙でSNSが誹謗中傷の手段になった。SNSはありもしないデマを拡散させ、県会議員の名誉を傷つけ、命まで奪ってしまった。

愛知県豊明市でスマートフォンの利用を1日2時間以内とする条例が、9月22日の市議会で成立した。時間を明示した「スマホ使用条例」は全国初。スマホの長時間利用は睡眠時間減少や学力低下につながると指摘された。子どもを守るためにITとどう向き合うか、日本では議論が始まったばかりだ。

アメリカでは子どものSNSの利用を制限すべきかどうか、昨年から激しい議論が続いている。議会で開かれた公聴会ではSNSを運営する大手5社の幹部に対し、リンゼー・グラム議員が「SNSは命を奪い、民主主義を混乱させている。行動しなければ悪化の一途をたどるだろう」と責任を追及。あるSNSのCEO が謝罪する場面もあった。ニューヨーク市はSNSを「有害物質」と指定して勧告を出した。(写真下)



いま、世界的にSNSのあり方が問われている。世界は、子どもたちの命を守り、子どもたちを犯罪から守り、健全な社会を維持しながら活用することを模索している。SNSの規制に着手するオーストラリアはその先駆けとなるだろう。

藤家 管幸 メルボルン補習校名誉校長
藤家 管幸
メルボルン補習校名誉校長

日本で32年の教職経験を経て、2005年4月からメルボルン国際日本語学校校長を勤める。 2009年12月同校退職。2011年4月メルボルン補習校校長に就任。2016年メルボルン補習校名誉校長に就任。

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