
新年を迎え、子どもたちも保護者の皆様も新たな気持ちで学校生活をスタートしたことでしょう。今年は午年(うまどし)ですが、六十年に一度めぐって来る丙午(ひのえうま)です。
昔は、「丙午生まれの女性は気が強く、家庭運が荒れる」と言われ、出生率にも影響しました。しかし、今では、丙午は「大転換の年、停滞が一気に動き出す」などインパクトの大きい年と捉えられているようです。本校も、子供たち一人ひとりが目標に向かって力強く一歩を踏み出す年となるよう、教職員一同取り組んでまいります。
去る12月6日(土)に、第十五回小学部・中学部の卒業式を執り行いました。小学部は国語Ⅰコース16名、国語Ⅱコース19名、中学部は国語Ⅰコース4名、国語Ⅱコース10名の49名が卒業しました。開校以来、卒業生が一番多い卒業式となりました。そして、1月31日(土)には、第十六回中学部入学式で、中学一年生国語Ⅰコースに14名、国語Ⅱコースに14名が入学しました。国語Ⅰコース、国語Ⅱコースともにこれまでの学びを土台に、中学部ではそれを生かして、自ら疑問を見つけて、考えを深めていく学びへと進んで行きます。
現在、文部科学省では「令和の日本型学校教育」として、これからの時代に必要な力の育成が示されています。その中で大切にされているのが、子どもたちが当事者意識をもって学びに向かい、自分の考えを大切にしつつ、友だちや周りの人と話し合い、より良い答えを見つける力です。知識や技能を身につけることに加え、自分の考えを言葉にし、相手の考えに耳を傾けながら理解を深めていく自立した学習者が、今後ますます求められてくることになるからでしょう。
つまり、自立した学習者とは、すべてを一人で行う子どもではなく、主体的に学びに取り組み、何を学ぶか、なぜ学ぶかを考えながら取り組み、必要なときには周囲の力も借りることができる学習者のことです。さらに、友だちや周りの人の考えに耳を傾け、自分の考えを見直しながら、対話を通してよりよい答えを見つける姿勢も大切です。学びを受け身にせず、自分の意見を大切にしつつ、他者の意見からも学び、協力してよりよい解を探究していく力こそ、これからの時代に求められる力です。
近年、AI技術が急速に身近な存在となっています。AIは多くの情報を瞬時に提示してくれる便利な道具ですが、考えることそのものを代わってくれるものではありません。自立した学習者に求められるのは、AIを上手に活用しながらも、自分で考え、判断する力です。この「判断する力」を身につけるためには、さまざまな経験を積み重ねることが必要だと思います。
例えば、判断の前に立ち止まって考えること、いくつかの選択肢を比べて選ぶこと、対話を自分の考えを深めるきっかけにすることなどが大切です。また、年齢に応じた「小さな判断」を積み重ねていくことも重要です。たとえば、幼稚園では「どうしたらよいと思うか」と考えること、小学部では「理由を考えて選ぶ」こと、中学部では「根拠を示して判断する」ことなど、発達段階に応じた「判断の経験」を重ねていくことが、将来につながる力を育てていくのではないでしょうか。
こうした経験は実は特別なものではないのかもしれません。アメリカの作家のロバート・フルガム(写真 =Robert Fulghum 1937生)は40年前に、「人生で本当に必要なことは、すべて幼稚園の砂場で学んだ」と語っています。それはまさに、今私たちが大切にしている「自立した学び」や「判断する力」の原点です。

変化の多い時代ではありますが、そのような環境の中においても、時代に応じた深い学びができる生徒を育てるべく、私たちはこれからも努力しなければならないと感じています。幼稚園から高校生まで、子どもたち一人ひとりの成長段階に寄り添いながら、子供たちとのコミュニケーションを取ることが大切だと考えています。
本年も保護者の皆様におかれましては、ご家庭でのお子様のサポートをお願いいたします。そして、お困りのことがございましたら、担任の先生方にご相談ください。ともに解決策を模索したいと思います。学校とご家庭で、子どもたちの成長をを温かく見守っていければ幸いです。

- スワン 由香里
- メルボルン補習校校長
補習校勤務8年、現地校勤務14年の教育経験を経て、2011年4月、メルボルン補習校開校時にビジネスマネージャーとして着任。
2016年には同校の校長に就任し、学校運営と教育の充実に努める。





