
「将来の夢は何ですか。」
日本では、子どもたちにしばしば尋ねられる質問の一つである。JSC幼稚園のお誕生日会でも、一人ひとりに将来の夢を聞く。そして、その夢を聞くたびに、会場の大人たちの顔も自然とほころぶ。
また、小学部・中学部の卒業式でも、将来の夢に触れたスピーチは少なくない。その大きな夢に向かって頑張ってほしいと、応援したくなる瞬間でもある。
VCEコースの生徒たちとの会話練習でも、「将来どんな仕事をしたいか」「大学で何を勉強したいか」といった話題になることが多い。現実を前にすると、「今はまだ分からない」と答える生徒の方が多い。以前は「そんなことあるだろうか」と思っていたが、最近ではむしろそれが自然なことのように思えてきた。まだ知らない分野がたくさんあるのだから、早くから一つに決めるのは難しいだろう。
最近は、日本での跡継ぎ問題が社会問題の一つとして取り上げられていると聞く。生まれたときから将来の道がある程度決まっている人にとっては、あらかじめ敷かれたレールの上を進む人生に反発したくなる気持ちもあるだろう。しかし、何のレールもない場合、私たちはどのようにして将来の夢を見つけていくのだろうか。そして、数えきれないほどある職業の中から、何を選んでいくのだろう。
振り返ってみると、私自身も子どもの頃から今の仕事を目指していたわけではない。さまざまな出会いや経験、そして自分の好きなことや興味のあることをきっかけに教育の道を選び、気がつけば今、海外でこの仕事に携わっている。将来の夢は、最初から一つに決まっているものばかりではなく、歩んでいく中で少しずつ見えてくるものなのだろう。
メルボルン補習校に通う子どもたちは、日本とオーストラリア両国の文化をよく理解し、英語も日本語も堪能である。子どもたちの夢は、こうした環境によってさらに広がるだろう。毎週多くの宿題に取り組み、英語禁止の環境の中で持てる日本語力で友だちとつながりながら頑張っている。そんな現実の中でも、私は子どもたちに、大きな夢を持ち続け、挑戦し続けてほしいと願っている。そして、職業は何であれ、自分がやりがいと充実感を感じられる道を見つけることが大切だと伝えたい。
子どもたちが持つ「将来の夢」は、時代によって変わるものと変わらないものがある。昔も今も、憧れのスポーツ選手や幼稚園・学校の先生、看護師や医師など、身近で親しみのある職業は子どもたちの夢として根強く挙げられている。一方で近年は、YouTuberやゲームクリエイターのように、インターネットや動画文化の発展を背景にしたデジタル系の職業や、パティシエのような新しい夢も登場している。
どんな夢を持つかは、人それぞれである。大谷翔平のように計画を立てて努力を重ねる人もいれば、失敗や挫折を経験しながら自分の道を見つけていく人もいる。また、好きなことをとことん追い続けた結果、その分野の専門家になっていく人もいるだろう。あるいは、憧れの存在に出会ったことをきっかけに、その夢を追い続けていく人もいる。
将来への道のりは決して一つではない。それぞれの歩み方で試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの夢に近づいていくことができるのだと思う。
メルボルン補習校で学ぶ子どもたちがどのような夢を描き、それに向かってどのように歩んでいくのか。彼らの未来がますます楽しみである。
- 持永 真帆
- メルボルン補習校 教頭
日本で小学校教員として勤務した後、2004年、留学のためメルボルンへ渡る。現地で教員免許を取得し、現地校にて日本語を指導。その後、2012年よりメルボルン補習校に勤務。出産を機に現地校・補習校での勤務を一時離れるが、2019年のVCEコース開講に伴い補習校に復帰。現在は教頭として学校運営に携わるとともに、VCEコースの指導も担当している。





