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The Japanese Saturday College of Melbourne メルボルン補習校

ブログ 特集 教員採用の実情・・・教員に期待すること

 開校(2011年4月)以来、最も長く勤務してくださった先生は、中谷和也先生です。14年間にわたり本校を支えてくださり、昨年度3月に退職されました。しかし今年度は、新年度当初に担任教員が揃わない状況となり、4月18日の始業日から三週間、小学2年生の担任として再び教壇に立ってくださいました。新担任の先生が正式に着任されるまで、クラスを温かく守ってくださいました。中谷先生は、私が思い描く「先生らしい先生」に最も近い存在でした。誠実で穏やかなお人柄で、常に子どもたちに優しく接してくださいました。また、教育に対する思いも大変深く、私たちの参考になる記事や教育関係のニュースを見つけると、いつも共有してくださいました。ご退職に際して教職員へ送ってくださったメッセージの中で、ABCテレビの『7.30』を長年担当されたLeigh Salesさんの言葉を引用され、「I feel a strong sense of it being time to pass the baton to the next runner in the race.」と述べられていたことが、とても印象に残っています。そして、「これからも、子どもたちとともに、この学校が『優しさに溢れた』場所であり続けることを心より願っております。」という言葉には、本校の大切にしているものが表れているように感じました。長年、毎週土曜日に当たり前のようにお会いしていたため、今でも中谷先生のいらっしゃらない補習校に不思議な感覚を覚えます。本校に長く力を尽くしてくださったことに、心より感謝しています。そして、少しゆっくりされた後には、またいつか子どもたちの前に戻ってきてくださる日があればと、密かに願っています。

 

 昨今、永住者や4月から3月まで一年間勤務できる教員を採用することは非常に難しいです。たとえ一年間勤務できる教員を採用しても、年度途中の採用の場合は、翌年度の途中で退職することになります。保護者の皆さんから、「途中で教員が変わらないようにしてほしい」というご要望をいただくことも多くあります。当然のご要望だと思います。教員もそのことはよく理解しています。しかし、それが厳しいのは、常にビザの状況や期限に左右されるからです。また、ワーキングホリデービザの延長を希望する場合には、指定地域での就労が必要となるため、遠方の農場などで勤務しなければならないことがあります。そのため、補習校で継続して勤務することが難しくなる場合もあります。

 一年間を通して勤務できる永住者の教員確保が難しいこともあり、本校ではワーキングホリデーで滞在している若い先生方にもご協力いただいています。一般には、ワーキングホリデーというと、「海外で自由に生活を楽しむ若者」というイメージを持たれることもあるかもしれません。実際に、オーストラリアの比較的高い賃金水準に魅力を感じ、将来のための資金を貯めることを目的に来豪する方もいることでしょう。私は採用面接の際に、ワーキングホリデーでオーストラリアに来た理由について尋ねるようにしています。多くの方々は、「海外で生活してみたい」「英語力を高めたい」「異文化に触れ、視野を広げたい」といった思いを語ってくれます。

 本校の教員への応募者は、教員免許を持っている方や、日本で教員経験のある方が多くいらっしゃいます。特に英語教員の経験がある方や将来英語教員を目指している方の中には、実際に海外で生活し、自ら英語を使う経験を積みたいと考えて来豪される方もいます。また、教員として勤務する前に、あるいは一度教員として働いた後に、さらに人生経験を深めることで、子どもたちにとっても、自分自身にとっても、より良い教育につながると考えている方も少なくありません。

 現在、日本でも多文化的な背景を持つ子どもたちが増えていると言われています。そのような中で、教育現場においても、海外で異なる文化や価値観に触れた経験を持つ教員への期待が高まっているようです。文部科学省も、在外教育施設での勤務経験や海外経験を、教員としての資質向上につながる貴重な経験として位置づけており、グローバル社会に対応できる教員の育成や、帰国後の日本国内の教育現場での活躍にも期待を寄せています。

 本校には現在、ワーキングホリデーで来豪している11名の担任教員が勤務しています。多くの教員は、帰国後に再び日本の教育現場に戻ることを考えているようです。その意味でも、本校での経験や学びを、今後どのように日本の教育へ還元していくのか、大変楽しみにしています。また、海外で生活する子どもたちや保護者の皆様が、日本語を学び続けるために大変な努力を重ねていることも、ぜひ理解してほしいと思います。海外駐在などで一時的に滞在している家庭においても、英語習得に力を入れる一方で、子どもたちの国語力を維持するために、多くの時間と努力が注がれています。本校で勤務する先生方には、そのような海外の子どもたちの姿や、日本語教育を支える保護者の思いを、将来日本で教壇に立った際に、ぜひ日本の子どもたちにも伝えてほしいと思っています。海外で懸命に学ぶ子どもたちの存在は、日本の子どもたちにとっても、大切な学びにつながるはずです。確かに、勤務期間が限られていることは、本校にとって課題の一つでもあります。しかし、その限られた期間の中でも、子どもたちの教育に真摯に向き合う先生方の姿には、多くの可能性と希望を感じています。

  画像:Geminiで作成
スワン 由香里 メルボルン補習校校長
スワン 由香里
メルボルン補習校校長

補習校勤務8年、現地校勤務14年の教育経験を経て、2011年4月、メルボルン補習校開講時にビジネスマネージャーとして着任。
2016年には同校の校長に就任し、学校運営と教育の充実に努める。

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